長崎県教育センターWeb情報261号 (平成20年3月14日)

長崎県国語力向上プランを生かした国語科の授業づくり

 平成19年2月に長崎県教育委員会より「長崎県国語力向上プラン」リーフレットが配布されました。本プランでは、義務教育9年間を見通して国語科において身に付けるべき力を系統的に示すとともに、国語科で身に付けた力が他教科や学校行事等でどのように生かされるかが例示されています。併せて、本プランを生かした授業づくりの視点が示されています。
 本プランの趣旨を確認するとともに、国語科の授業づくりへの具体的な生かし方について考えてみたいと思います。

長崎県国語力向上プランの趣旨

 すべての教科等の学力の基礎となる「国語力」の向上に取り組む。

■ 学校生活のあらゆる場で国語力の向上を図る。

 「長崎県国語力向上プラン」を生かした授業づくりのポイントとして、下記の8つの視点を示しています。

 これらのポイントは、国語科の授業づくりの視点としてだけでなく、日々の授業実践を振り返る視点にもなり得るものです。各学校の実態を踏まえた授業づくりを進めるうえでの指針として活用していきたいものです。
 以下、それぞれのポイントについて考えてみたいと思います。


9年間の学びのつながりを踏まえた授業

 〈学びのつながり〉とは、下記に示すような学習内容のつながりとともに、話し方や聞き方、話合い方やノートの取り方といった学び方に関するつながりも考えられます。国語科においては、「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」「言語事項」における各指導事項の系統を意識した指導をこれまで以上に心がけていく必要があります。また、小・中学校の学年間の縦のつながりと併せて、学年内における各指導事項の系統、いわゆる横のつながりにも目を向けていくことが重要です。



そのためにも、まず、自校の年間指導計画について、次のような視点から見直し、改善に着手したいものです。



授業の目標(ねらい)を明確にした授業

 学び手である子どもの実態に応じて、身に付けさせたいこと、教えること(指導事項)を絞り込み、単元及び毎時間の授業の目標を明確にします。
 目標を明確にすることで、次のようなメリットが考えられます。
 ○教師にとっては   ・支援のポイントが明らかになる
            ・評価の視点が明確になる
            ・教えるところと考えさせるところがより鮮明になる
 ○子どもにとっては  ・学習の手順がはっきりとする
            ・学習のゴールがイメージ(意識)できる
 ○校内研究にとっては ・仮説検証のポイントが明確になる
            ・本時で明らかにすべき点を絞り込む


身に付けた国語の力を使い、生かす授業

 国語科で学んだことは、他教科や総合的な学習の時間等をはじめとして学校生活の様々な場面で使われ身に付いていきます。具体的にどのような学びが、どのような学習やくらしの場面で役立ち、活用されるのかを、学校全体で共通理解を図り、他教科等の学びを支える国語科の授業を実践していきたいものです。
 「長崎県国語力向上プラン」には、国語科で経験する学びを活用する場面を想定してその一例が示されています。これらを参考にして、各学校独自の活用一覧を作成することも考えられます。


言語活動を適切に取り入れた授業

 子どもにとっては、活動を楽しむこと自体が目的であっても、指導する側の私たち教師には、その単元で培いたい力、伸ばしたい力をしっかりと押さえて指導にあたる必要があります。それが不明確であれば、いわゆる“活動あって指導なし”の状況に陥ることになります。
 大切なことは、学習過程の中に、表現しよう、教材等と積極的にかかわろうとする意欲や態度を育てる学習活動を設定することが必要です。そして、それらの活動は、あくまでも、目標(ねらい)を達成するためにふさわしい言語活動として適切に位置付けることが大切です。


子ども同士、教師と子どもとの対話があふれる授業

 国語科の学習においては、各自の考えを出し合い、かかわり合い、互いに紡ぎ合うことで、〈よりよい表現に、より深い読みへ〉と学びが深まり、その時間のねらいが達成され、子どもの言語の力が向上していきます。
 〈対話があふれる授業〉とは、子ども相互及び教師と子どもとの学び合い、磨き合い、深め合う、相互に交流のある授業を意図しています。
 そのためにも、友達に自分の思いや考えが伝わるようにわかりやすく話したり、友達の発言内容を正確に聞き取ったりすることの指導とともに、友達の発言内容に対して、相手の話を共感的に受け止めたり、疑問に思ったことを聞き返したり、根拠をもって反論したりするなどの『話し合う力』をはぐくむことが大切です。


考えや思いを深め、自分のことばで表現する授業

 今年度実施された全国学力学習状況調査においても、図、表、グラフなどから情報を読み取る力や、集めた情報について、それまでの自己の生活経験や、他から得られた情報などを総合して、その上に自分の考えを構築する力をみる問題が出題されています。自分の感じたことや考えたことを様々な方法で表現する学習活動を、効果的な単元や題材において,意図的に設定していく必要があります。
 さらに「表現力」が実のあるものとして定着していくためには、「表現力」の高まりを子ども自身が実感し、表現する喜びを味わい、次の学習へのエネルギーとしていくことができるようにすることが大切です。そのためには、学習過程の中で、表現力を発揮する場面や表現したものを発表する場面を適切に位置付けることが求められます。


豊かな学びが生まれる学級

 国語科に限ったことではありませんが、授業の場は、教師と子ども、子ども相互の心と心の響き合いを育てる場でもあります。授業において、個のよさが発見され磨かれ、個の発達が促されます。
 豊かな学びが醸成される背景には、日々の学びの場である学級集団の在り方が重要であることは言うまでもありません。授業の中で、子ども一人一人のよさや可能性を大切にしながら、子どもたちにとって居心地のいい学級、互いの存在を認めあえる学級、学びがいのある学級づくりを進めていきたいものです。


豊かな学びを支える教育環境

 学校生活全体の中で言語環境を整え、国語を大切にする子どもをはぐくんでいくことが重要です。特に、小・中学校においては、指導にあたる教師自身が言語環境のモデルであるという自覚と認識に立って、望ましい言語環境づくりに取り組むことが必要です。そのうえで、学習の足跡がわかる掲示物の工夫、正しく美しい言葉にふれさせる言語環境の整備、学校図書館の環境づくりなどにあたりたいものです。
 また、様々な言語情報が氾濫する環境に身をおく子どもたちに、単に情報を受容するだけでなく、様々な言語情報から自分なりに感じたこと、考えたことを発信するなど、新たに情報を創り出す力をはぐくむ中で、さらなる豊かな学びが生み出されていきます。そうした意味でも、言語環境を含めた教育環境の整備・充実が求められています。


 以上、「長崎県国語力向上プラン」の授業づくりのポイントを紐解きながら、日々の国語科の授業づくりの在り方について考えてみました。
 本プランの活用を契機として、
○授業者と学習者が同じ目標を持ち、同じようにその「学び」を確認できる授業
○「表現する機会」を持ち、学習者がその喜びを知ることができる授業
が創造され、子どもたちが、「国語」を学ぶことの喜びを知ることができるようにと願っています。

参考:長崎県教育庁義務教育課配布資料「長崎県国語力向上プラン」


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