長崎県教育センターWEB情報第260号(平成20年2月29日)
教育相談課特別支援教育班
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平成19年度は「特別支援教育元年」と言われており,各学校において特別支援教育の取組が本格化しています。そこで今回は,最近の特別支援教育における授業改善の考え方や,その取組を紹介します。
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| 特別支援教育における授業改善とは,個々の子どもへのねらいを達成するための指導のステップや支援の方法の妥当性を検討し,次時の授業のねらいや手だてに反映させることです。 |
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子どもがつまずいている部分を明らかにするための方法として,課題分析があります。例えば,清掃活動でよく見られる「ぞうきんを絞る」という活動を課題分析すると・・・。
| チェック | 手順 | ぞうきんを絞る活動の課題分析(例) |
|---|---|---|
| 1 | ぞうきんを濡らす | |
| 2 | ぞうきんを半分にたたむ | |
| 3 | ぞうきんをさらに半分にたたみ,4分の1の大きさにする | |
| 4 | たたんだぞうきんの両端を両手で持つ | |
| 5 | ぞうきんを強く握る | |
| レ | 6 | 右手首と左手首を反対方向に回し,きつく絞る |
| 7 | ぞうきんを広げる |

このように課題分析を行うことで,例えば「A君とB君はぞうきん絞りができない」という漠然とした実態把握が,A君は「ぞうきんを絞りやすくするためのたたみ方が理解できていない」,B君は「絞る時の手首の動かし方が理解できていない」というように具体的になります。A君にはぞうきんのたたみ方,B君にはぞうきん絞りの手首の動かし方にポイントをしぼって指導を行うことができます。

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次に,ぞうきんのたたみ方を指導する際の,支援の仕方を考えてみます。子どもの理解力や学習レディネスによって支援の仕方も変わってきます。
例えば「ぞうきんをたたむ」というねらいに対し,次のような支援が考えられます。事後にねらいや手だてが適切であったかどうかを検討し,ねらいのステップアップや,手だての改善を行っていきます。
| 子どもの理解の程度 | 考えられる支援の例 |
|---|---|
| 2〜3語文の言語指示を理解できる子どもの場合 | 「半分にするよ」「もう1回半分」などの言語指示をする。 |
| 横でモデルを示せば,模倣ができる子どもの場合 | 教師も横でぞうきんを持ち,「半分にしよう」とモデルを示す。 |
| 注視すべき箇所を明確に示せば理解できる子どもの場合 | ぞうきんに例えばリンゴのマークを付けておき,「マークをくっつけるよ」のように視覚的に示す。 |
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国立特別支援教育総合研究所の授業改善に関する研究では,「授業の評価・改善シート」「自閉症教育のキーポイント」というツールを使って授業における目標を絞り込んで,改善を行う取組が提案されています。ここでは,「自閉症教育のキーポイント」,「重度重複障害のためのキーポイント」を紹介します。
例えば自閉症の子どもの指導において,下表の「自閉症教育のキーポイント」でアセスメントを行います。その結果,A君は【F 自ら課題解決のために注視すべき刺激に注目できる力】が課題であったとします。
上述のぞうきんをたたむ指導の場面では,ぞうきんにマークをつけておき,たたみ方を視覚的に示すというように,ねらいに対して手だてを明確にするために活用できます。
このような学習を行うことで,例えばかけっこのスタートラインを意識して立つなど,他の場面においても,刺激に注目する力が高まっていくことが期待できます。
| 自閉症教育のキーポイント | |
|---|---|
| @ | 自ら学習する態勢になる力 |
| A | 自ら指示に応じる,指示を理解できる力 |
| B | 自ら自己を管理する,調整する力 |
| C | 自ら楽しいことや嬉しいことを期待して活動に向かう力 |
| D | 自ら何かを伝えようとする意欲と個に応じた形態を用いて表出する力 |
| E | 自ら模倣して,気付いたり学んだりする力 |
| F | 自ら課題解決のために注視すべき刺激に注目できる力 |
| 重度重複障害のためのキーポイント | |
|---|---|
| @ | 自分に向かう |
| A | 人に向かう |
| B | 物に向かう |
| C | 人・物に向かう |
次期学習指導要領の改訂では,障害のある子ども一人一人の特性や教育的ニーズに応じたきめ細かい指導を行うことが,より明確化されます。したがって,教員一人一人が日々の授業実践をより確かなものにしていくためには,毎時毎時の授業のねらいを絞り込み,そのねらいを達成するために,日常的に授業改善を行うことが大切です。
また,特別支援教育の視点は全ての子どもの支援につながるということを念頭に置くことも大事であると思われます。