長崎県教育センターWeb情報 第259号 (平成20年2月15日)


調査研究「食育推進の在り方に関する研究」の報告


教育経営課高校教育班

  Web情報第227(平成181228日配信)、第242(平成19622日配信)に続き,平成18年度から2か年計画で取り組んでいる調査研究「食育推進の在り方に関する研究」について,平成20111日(金)に実施した研修講座の内容を報告します。

 

1 講座の目的

 

   学校で取り組む食育の在り方について,講演や,食育の全体指導計画・教材開発等に関する情報交換及び研究協議を通して研修を行い,教職員の意識の啓発と指導力の向上を図る。

  

2 受講者数

小 学 校 中 学 校 高 等 学 校 特別支援学校
講座受講者 38 14 60
講演のみ参加  22 10 44
60 23 14 104

※定員40名の講座に,たくさんの参加をいただきました。ありがとうございました。


3 実践発表「学校における食育の取組」


  @「やさしく かしこく たくましい長里っ子の育成をめざして〜学校全体で取り組む食育〜」

諫早市立長里小学校 栄養教諭 真野有里

 栄養教諭が中心となり,全体指導計画や学年指導目標をもとに,学校教育目標達成に向けてすすめる食育の実践発表です。
 担任とのチームティーチングによる授業や近くにある給食センターとの連携等を行い,給食,教科,学級活動,総合的な学習の時間等で全職員で取り組む食育の様子を紹介いただきました。

        




 A「食育〜『自分で作る弁当の日』を通して〜」

佐世保市立中里中学校 養護教諭 古川千佐子

 養護教諭が中心となり,学校保健委員会と連携をとって学校全体ですすめる食育の実践発表です。
 特色ある学校づくりの一環で,様々な食育を実施しており,その中の「自分で作る弁当の日」の取組を通して食の重要性や感謝の心,家族への思いを育む実践を紹介いただきました。

      




 B「工業高校における食育の取組〜高齢者ふれあい郷土料理講習会を通して〜」

県立島原工業高等学校 教諭 井坂美緒

 家庭科教諭が中心となり,市の社会福祉協議会の協力を得て,高齢者とふれあいながら郷土料理について学ぶ取組の実践発表です。
 工業高校の特色を生かしたお土産作り等で,学校全体へ食育の意識を広げるとともに,郷土料理を通して,食文化を伝承し,高齢者を敬う気持ちを養うことをねらいとした実践を紹介いただきました。

       

 



 C「児童生徒一人一人のニーズに応じた学校給食を目指して〜食べることが難しい児童生徒への食育〜」

県立諫早養護学校 教諭 末松泰子・栄養士 上村由理

 

 学校給食における個に応じた食育の実践発表です。
 栄養職員と教員,保護者,歯科医師との連携により,給食指導において「初期食」,「中期食」,「普通食」という形態の異なる食事を提供することで,安全でおいしく楽しい食事とともに,口唇閉鎖や押しつぶし等の機能獲得をめざす取組を紹介いただきました。

      

 

4 研究協議「学校における食育の取組と課題」

 

 校種別で,12の班に別れ,各校の取組等について情報交換を行いました。「食育の6つの指導内容」を確認しながら,各班でワークシートに記入し,事前提出資料をもとに各校の取組を整理していきました。,ワークシートは成果物として,すべての班のものを印刷して,受講者に持ち帰っていただきました。

    



 

5 講演「学校で取り組む食育の在り方」

文教大学教育学部・同大学院教育学専攻科 教授 嶋野道弘

 

 午前中の4校の実践発表の内容にも触れながら,具体例をあげ,食育の必要性や重要性など基本的なことからお話しいただきました。
 学校における食育推進の視点を「つなげる」「智恵」「教育観」というキーワードで示していただき,たいへんわかりやすい講演でした。講演のみの参加者を加えて,104名が聴講しました。 

  → 講演の資料はこちら

      



6 受講者の感想(抜粋)

○研修講座受講者の感想
・食育についての視点がはっきりした。実践発表で具体的な取組を聴き,他校種のそれぞれの工夫が参考になった。(小学校 教諭)
・実践発表に刺激を受け勉強になった。研究協議でも意見交換をさせていただき,意義のある研修会だった。講演もとてもわかりやすかった。(小学校 養護教諭)
・実践発表から,すぐに活用,実践できるヒントをもらった。あらゆる機会をとらえて食に関わる小さな事柄からも指導ができることを感じた。(小学校 養護教諭)
・視野が広がり,食育も様々な方法があるのだということを学んだ。(小学校 栄養教諭)
・食育が,食べることだけに留まらず,各教科,美術や技術までも連携して考えさせることができるということを痛感した。(中学校 養護教諭)
・地区や校種,職種の異なる先生方との研究協議や情報交換がとても参考になった。この研修で,いつもと違った角度からの食育のとらえ方を教わった。(中学校 栄養職員)
・できるところから実施し,食育を継続させていきたいと強く感じた。(高校 教諭)
・食べ物ができる過程,食事ができる過程などを通し,感謝の気持ちを持って食べることを伝えたいと思った。(特別支援学校 栄養職員)

○講演のみ参加者の感想
・学校教育の特質について理解することができ,3つのキーワードから具体的な食育への取組み方を学ぶことができた。今まで受けた食育の研修とはちょっと違った内容で,大変勉強になった。(小学校 栄養職員)
・学校全体のカリキュラムづくりが大切なことがよくわかった。あたり前の事をあたり前の事として教えていくことの必要性を再認識した。取り組めることから取り組んでいきたいと思った。(小学校 養護教諭)
・「食は教育である」と断言された嶋野先生のスタンスに強い共感を得た。子どもたちへの意識化や意欲づけ,家庭との連携など課題は多いが,難しく考えないで軽く楽しく急がず取り組んでいきたいと思う。(中学校 教諭)
・3つのキーワード「つなげる」「智恵」「教育観」から,生徒たちの実際の生活を見聞きしている私たちが,いかにして子どもを変えていくかということの大切さを感じた。現場に帰って,できることから始めていきたいと思う。(中学校 養護教諭)
・「つなげる」というキーワードから,学校で生徒が学ぶ断片的な食に関する知識を,生徒たちの生活にいかにつなげていき,生徒たちの生活をいかに豊かにしていくかということの重要性を強く感じた。(高校 教諭)
・教員として,どのようなことに取り組めるのか,小さな事からでも始めていきたいと思った。(特別支援学校 教諭)


※ この研修講座では、次の点で成果があったように思います。

 @4校種(小学校,中学校,高等学校,特別支援学校)の実践発表により,食育の
  様々な取組を紹介することができた。
 A職種を交えた研究協議により,「学校全体で取り組む食育」「全職員で取り組
  む食育」という意識が啓発できた。
 B嶋野先生の講演により,食育の重要性や学校での取組み方について,基本的な
  考え方を押さえることができた。


※研修講座には,たいへん多くの方に参加いただき,改めて,学校における食育への関心の高さを実感しました。
 調査研究は今年度で終了しますが,食育の研修講座は次年度も実施する予定です。学校でそれぞれ無理なく,長続きする食育の取組がすすめられますように,教育センターはこれからも,皆さんの指導力向上のお役に立てる取組をすすめていきたいと考えています。
 どうぞ今後も,教育センターの研修講座にご注目ください。
なお,調査研究のまとめは,平成20年3月中に教育センターWebページで,改めて報告いたします。そちらもご覧いただきますよう,よろしくお願いします。



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