長崎県教育センターWeb情報 第232号 (平成19年2月20日)


    教育相談に関する技法(4)   

〜児童生徒とのかかわりに生かすスクイッグル,コラージュ〜

                      
       
 教育相談課 相談班

  保健室登校や別室登校をしている児童生徒ととのかかわりや関係づくりに,困ったことはないでしょうか。
不登校等の原因は様々です。しかし,その児童生徒の多くに共通するのは,他者との関係をうまく築けず心が疲れ,自分に自信が持てなくなっているということです。また,自分の気持ちを内に閉じこめたり,気持ちを伝えたくても,うまく言葉で表現できなかったりしています。
 そのような児童生徒にとって,ここで紹介するスクイッグル法やコラージュ技法は,無理なく自分の感情を表現し,葛藤や欲求,不安を発散させ,昇華させる非言語的表現技法であると言えます。また,そこから生まれた作品を通して,教師との関係を築き,教師にとっても児童生徒理解の手がかりにすることができます。



1 スクイッグル(squiggle):自由に描いたグルグルの線をもとに,他者(教師)が線を加えたり色をつけたりして好きな絵に完成させます。やりとりという相互性が生徒との関係作り生かせる方法。

(1) 準  備                                                     
画用紙(八つ切り),クレヨン
(2) 方  法
@目を閉じたまま,画用紙に黒のクレヨンでグルグルと自由に曲線を描く。 
A目を開け,描いた線が何に見えるかを想像し,色をつける。
B同様に,今度は目を開けたままの状態で自由な曲線を描く。
C自分が描いた曲線の画用紙を相手に渡す。
Dお互いに交換した相手の描いたグルグルの線が何に見えるかを想像し,それにクレヨンで色を付ける。 (線や点などを書き足してもよい。)  
E作品を相手に返し,どんなものに見えたか話し合う。また,自分の描いた線の変化について感想を述べ合う。
(3) 応  用
画用紙を6等分(4等分でもよい)にし,それぞれのスペースにグルグルと曲線を描く。それに上記と同様,色を付けていく。出来上がった絵に合わせて物語を作る。
                                   
        
                                                                                                                             
<スクイッグルの例>

  このような描画表現には,言語では表現できない感情が投影されたり,意識下に押さえられている問題が象徴的に表現されたりする場合があるといわれています。
 しかしその問題を明らかにすることよりも,表現することによるカタルシス(浄化)の効果に期待することが大切です。そして,何よりも大切なのは,かかわり合うということです。意図を持たずに描いた奇跡が,他者によって新たな意味を見出されたとき,自分を受け入れてもらえたという安心感が生まれます。それが,他者との信頼関係を回復したり,築いたりすることに繋がっていきます。



2 コラージュ(collage) :雑誌やパンフレットの切り抜きを画用紙に糊づけする技法。

(1) 準  備                                                     
画用紙(八つ切り,四つ切り),はさみ(安全のため,先端の丸いものが望ま しい),糊,写真の多い雑誌やカタログ・パンフレット・広告など 
(2) 方  法(制作)
マガジンピクチャー・コラージュ方式(小学校高学年以上向き)
雑誌等の写真や絵,文字など,好きなものや心に引っかかったものを自由に 何枚でも切り抜き,それらを画用紙の上にレイアウトして,糊ではります。
コラージュ・ボックス方式(小学校低学年向き)
あらかじめ教師が雑誌等から写真を切り抜いて,箱に入れておき,その中から選んで画用紙に糊づけします。
  児童生徒へは「雑誌やカタログの中から,好きなものや心に引っかかったものを 切り抜いて,画用紙にはってください。」とだけ指示します。制作は30分から1時間程度。その間は,児童生徒はおしゃべりをしません。教師も話しかけず,静かに寄り添う感じで空間を共有します。または,教師も傍らで作品を作っても いいでしょう
(3) 作品鑑賞  
出来上がった作品を鑑賞し,質問や感想を述べ合います。
たとえば・・・
  「この作品にタイトルをつけるとしたら?」「テーマは何?」「どんな場面?」 「この中にあなたはいるのかな?いるならどれ?」など自己像を探ります。
  「ここはどこだろう?」「この人はどうして泣いているの?」「この中には何が入っているのかな?」など場面設定を詳しく聞きます。
  「楽しそうな雰囲気だね」「動物がいっぱいいるね。好きな動物は何?」など会話を広げていきます。 
(4) 作品鑑賞の視点・・・児童生徒理解のためのポイント
作品はどんな印象か。(楽しい・さびしい・元気がない・まとまりに欠ける)
どんなものに興味があるのか。(作品から読みとれる願望・嗜好など)
(2回目以降は)これまでの作品との共通点や変化などが感じられるか。

    <コラージュの例>

※個々の写真の著作権の関係で,故意にぼかしを入れています。

  作品については,解釈や分析を必要としません。コラージュ技法を用いる目的は,制作者(児童生徒)が自己表現することにより生まれてくる治癒力を促すことと,他者(教師)が制作者(児童生徒)を理解する(気づく)手がかりにすることです。

     


    【参考文献】 
     『コラージュ療法入門』森谷寛之 他編(創元社)
     『子どものアートセラピー 〜箱庭・描画・コラージュ〜』森谷寛之 著(金剛出版)
     『心理学辞典』中島義明 他編(有斐閣)
    『子どもの心がわかる養護教諭にカウンセリングから学ぶ』出井美智子 他編著(学事出版)






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