長崎県教育センターWeb情報 第215号 (平成18年8月30日) 


情報モラル最前線

教育情報課 情報教育推進班

「インターネット利用上のトラブルはほとんどの家庭で起こっているので,保護者向けにどのような啓発の方法があるのかをお話しいただきたい。」

 これは7月27日(木)に実施した「情報モラル最前線」研修講座で,「講師の先生に質問したいこと,講義の中で取り上げてもらいたいこと」という事前アンケートの質問にあったものです。
 情報化社会が急激に進んでいます。情報教育推進班では,それに応えるべく班内での研修会や検討会を重ねながら講座の準備や運営を行っています。その中でも,「情報モラル・マナーの指導」については,長崎県が抱える重大な問題として認識し,全ての情報系研修講座での講義,学校・地域への出前講座等,さまざまな取組を行っています。特に今年度は,これまでにない新たな取組として「情報モラル最前線」という研修講座を開講しました。これは,県内ではなかなか入手しにくい最新の情報について,専門家に来崎していただき,直接講義や質問に答えていただくといった研修講座です。
 今回はこの「情報モラル最前線」の研修講座の中で,上の質問にあるような「家庭での情報モラル・マナーの指導」についての部分についてご紹介いたします。 

 講師:長谷川元洋先生 
  (金城学院大学 現代文化学部情報文化学科 助教授)
     「長谷川 研究室」Webページ

講義内容の一部
(1)「インターネット」は増幅装置
(2)児童生徒への指導例
(3)「インターネット上でのトラブル」解決策
(4)事例紹介
(5)最近,注意しなければならなくなっていること

(1)「インターネット」は増幅装置

 長谷川先生が開口一番に話されたことは,
 
「インターネット」は増幅装置である
ということでした。「例えば,ボランティア活動にインターネットを活用すれば活動は人の輪が拡がり,活動を充実したものにすることが期待できる。しかし,悪い方向にインターネットを利用すれば,より悪いことが簡単にできてしまう。」こういう認識をもって,児童生徒や保護者に対して情報教育を行う必要があるということです。

(2)児童生徒への指導例

○児童生徒の実態を把握する。
○その上で家庭との連携を図る。
○授業だけではなく,様々な場面を利用して指導を行う。
○教材や指導案等は,ネット上を捜せばいつでも手に入る状況にある。
○自分の問題点としてとらえさせる。
 ・被害者・加害者,両方の立場に立つ可能性がある。(←疑似体験が有効)
 ・著作権,肖像権の理解(社会の基本的なルールとして,人の心を傷つける行為,人に経済的損失を与える行為はしてはならない。例えば,友達の電話番号など,友達のプライバーや個人情報を他の人に教える場合には,その友達の許可を得ること等を教えていく。)

(3)「インターネット上のトラブル」解決策

 最近,インターネット上での実名または個人を特定できるような内容の書き込みが増え,それにともなうトラブルが増加傾向にあります。
 長谷川先生は,
「ネット上のトラブルの特徴は,教師や保護者がトラブルに気がついた時には,子どもを守ってやることができない状況になってしまっているケースが多いことである。そのため何の指導・監督もせずに,子どもに自由にインターネットや携帯電話を使わせることには問題がある。」
と,その危険性について指摘されました。ネット上のトラブル解決策について,具体的な事例を交えながら次のような手立てを提案されています。

@証拠を残す。
 印刷した時間の記録。複数の場所(学校や家庭)でそのページをダウンロードしておく。
A削除要請の手続き
 削除要請の手続きを取ってもらう。
Bブロバイダーによる削除

【留意点】
・ある一定の条件を満たしている場合は,ブロバイダーは,ブロバイダー責任法に基づき,データの削除に応じなければならない義務がある。
・どのレベル(公的な処置等)まで保護者が望むのかを把握しておく。
・最近はブログなど,特定するのに難しい状況がある。

(4)事例紹介

 具体的指導事例として,静岡県にある中学校での実践例についての紹介がありました。
<静岡県菊川市立岳洋中学校の実践例>
 @PTA研修講座での保護者への説明
 APTAで携帯を持たせない運動を行っている
 B生徒の実態調査の結果を説明
 C学校とは全く関係ない,インターネット上の中学校の同窓会サイトで起きたトラブルを説明
 D家庭での指導の依頼
ポイントとしては,その学校の実態を把握し,それを保護者に伝えること。自分の学校のデータで話し,そして親子で約束事を決めてもらう。

(5)最近,注意しなければならなくなっていること

○占いサイト(携帯電話番号,メールアドレスで占う)
 
→個人情報を悪用される可能性がある。
○Blogの運用
 →ストーカー被害にあったり,そこで演じている別人格になってしまう危険性もある。(自分が書いた文章,自分の言葉遣いが精神に与える影響)
○フィッシング詐欺,偽サイト
 →本物のサイトと偽物のサイトの見分け方を教える必要有り。
○オンラインゲームの利用
 →多額の費用が発生したり,不正に他人のアイテムを取得したりするケースが増加するのではないか。

 今回は,受講生の要望が強かった「家庭での情報モラル・マナーの指導」にスポットを当てて書きました。「情報モラル最前線」研修講座では,研究協議や事前アンケートで出てきた質問等に対して長谷川先生に答えていただきました。また,講義では「個人情報保護対策」「全国各地で発生している事件」「暗号化ソフト等の紹介」「明日からできる対策」等,有益な講義をいただきました。詳しいことをお知りになりたい方は,情報教育推進班までご連絡いただければと思います。


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