盲・ろう・養護学校を教育的資源として様々な形で活用する ことができます

 教育相談を行うとき,盲・ろう・養護学校を訪れたり,職員の派遣を依頼したりすることは,一般的になってきました。他にも様々な連携が可能です。ただし,実施内容は各学校によって異なります。

障害についての専門的な
知識や指導法について
◆視覚障害,聴覚障害,言語障害に関すること
◆知的障害,自閉症スペクトラムに関すること
◆肢体不自由,運動障害,重複障害に関すること
◆病弱教育に関すること                   など
教育相談に関すること ◆来談,巡回相談
◆知能検査,発達検査
◆専門機関や福祉施設の紹介               など
理解啓発に関すること ◆学校見学
◆保護者向け講話                       など
研究支援に関すること ◆講話研修
◆教育課程や教材・教具の紹介
◆専門書や研究紀要の利用                 など



  相談の目的を明らかにします。たとえば…

 相談する内容はどのようなことか,また相談にあたるのはどのような教師チームなのかを,保護者と話し合っておきます。校内委員会でも相談内容を確認しておくことが大切です。
・ 発達障害の疑いについて専門的な立場から保護者に伝えて欲しいのか
・ 学習の場面を見てもらい支援方法について助言を得たいのか
・ 特殊学級や通級指導教室の活用や進路の選択について相談したいのか…など

  本人や周囲の困りごとや願いについて整理しておきます

本人  勉強がわからないので,学校に行きたくない。行動の特徴をからかわれてつらい。
保護者  家でもかなり時間をかけて勉強させているが,教えたことをすぐに忘れてしまう。どうすれば学習が身につくようになるか。
担任  国語は苦手意識が強いが,算数は計算力がある。もっと自分に自信を持って欲しい。

  伝えたい困りごとや状況を観点別に整理しておきます

基本情報  生育歴,受診歴,相談歴,家族の状況
行動面  着席状況,教師への注目,姿勢保持,課題への集中,持ち物の整理状況など
学習面  発問や指示の聞き取り,理解,作業,書字,器用さ,記憶力,読解力,表現の傾向
対人関係  他の児童生徒への関心,関わりの有無,協調性,ソーシャルスキル,集団への役割意識,自己主張の傾向,集団の中でのつらさや困難の状況,学級の雰囲気

  実態把握の手がかりを準備すると話し合いが進めやすく なります

・ 日頃の様子や気になる点などをメモしておく。
・ 県教育センターの実態把握表などで子どもの特性をチェックして事前に相談先へ送っておく。
・ テストの答案や子どもの作品,ノートなどを準備する。
・ 子どもの特徴が現れる授業を参観してもらえるように設定する。



  外部にバトンタッチするのではなく,学校自身が明日につなげる教育相談を

 教育相談機関や医療機関へ相談につなげていくためには,保護者の了承が必要です。心理検査などを実施するのは,子どもに合った学習指導方法や指導の手立てを考えていくために行うものであることを具体的に説明していくことが大切です。


 

のような投げかけでは,保護者は,学校から見放されたような印象を持ってしまいます。


のように,前向きな対処として説明していくのがよいでしょう。

不安や思いこみを軽減することが大切です

 できないことや問題行動を指摘されることで保護者は自責する気持ちや無力感を持ち,前向きな気持ちになれないことがあります。自分なりに工夫しても効果が現れなかった経験があると,「どうせ支援をうけても無駄なのでは」という否定的,悲観的な考えを持ってしまうことがあります。
 個に応じた支援を求めると「障害」のレッテルを貼られ,教育措置の変更を勧められるのではと不安に思われることも考えられます。LD・ADHD・高機能自閉症と診断されることで子どもが「劣等感を持つのではないか」あるいは「高校受験や就職などで不利な扱いをされるのではないか」 などの心配につながり,教育相談や特別な支援に対して消極的になることもあります。不安や思いこみについてまず否定するのではなく,その内容がどのようなものかを聞き出すことが教育相談の第一歩といえます。
 保護者にとっては,特別な支援に向けて行動を起こすことは勇気が必要ですが,子どもの将来を左右する重要な選択であることや,保護者だからこそできる手立てであることを理解してもらいましょう。
  



差別や偏見,不利益から守る意志を伝えます

 子ども自身との相談では,子どもの心情や発達段階によって説明する内容を工夫することが必要です。一方的な説明や障害名のみを伝えるだけの相談にならないようにします。どのようにしたらうまく学習を進めることができるかという視点や手立てを伝えます。
 支援を受けることが差別や偏見,進学や就労の不利益をもたらさないようにするという教師や学校の意志と手立てを伝え,子どもに理解してもらうことが必要です。

「こうすればいいかも」を一緒に考え,試します
 

 教師の話を受け入れるための素地として,自分の得手不得手を認識するための自己洞察力や困っている状態を改めたいという意欲が大切です。その子の実態を考え,困っていることについて考えを引き出し,「こうすればいいかも」という方法を話したり試したりしてみます。
 ことばでうまく説明できない子どももいるので,代わって言語化したり,選択肢を用意して話すことも有効です。

 
 様々な方向からのはたらきかけを試してみます

 この人の話なら耳を傾けることができるという人は,必ずしも担任教師や保護者だけではなく,部活動の顧問や先輩であったりします。いろいろな人から協力を得ることが有効な場合があります。また,LD・ADHD・高機能自閉症等の当事者の会からの情報には,同じような悩みをもつ人だからできる話や,共感できる内容がたくさんあります。
 対話自体に拒否感を示す子どもがいます。過去の対話の経験の中で改善のための具体的な助言は得られず,叱責されて劣等感だけが増した記憶が残っているせいかもしれません。そのような場合は,教師が一緒に作業をしたり,行事に参加したりすることが,対話を受け入れるきっかけとなることがあります。作業を課すという考えではなく,教師が共感的な気持ちで,一緒にやり遂げること,楽しむことが大切です。


  

県内の盲・ろう・養護学校のご案内

参考文献

『障害のある子どもの教育相談マニュアルVer.1 はじめての教育相談』
独立行政法人国立特殊教育研究所
『はじめよう学習障害(LD)児への支援』
福岡県教育委員会・福岡県教育センター